百聞は一見に如かず・第4回「京都一輪車クラブ ゆにっこ」
“初心者から上級者まで”
今回の「百聞は一見に如かず」では、京都市下京青少年活動センター・体育室で活動しておられる京都一輪車クラブ「ゆにっこ」さんにお邪魔させていただきました。一輪車に全く乗れない小学生を対象にした「一輪車教室」、高い技術の習得を目指し発表会や競技大会出場まで目標にしている「一輪車クラブ」、「ゆにっこ」さんではこの二つの活動を柱にしておられます。
“一輪車教室”
秋晴れに恵まれた11月3日、私たち『季刊ボランティアきょうと』取材班は、子どもたちの補助や生まれて初めての一輪車乗車体験に悪戦苦闘しながらも、気持ちの良い汗を流しました。
活動の前半は一輪車教室。準備体操の後、いざ一輪車へ。子ども一人一人にスタッフの方がついてマンツーマンで補助。先生が随時適切にアドヴァイスをされていきます。10月に開講ということで、私たちがお邪魔した時は3回目。
子どもたちが一輪車に乗るのは実質2回目ということでまだまだ乗りこなせるという訳には行かなくて、補助の人に手を繋いでもらったら走れる、という子どもたちが多かったようです。
季刊ボランティアのスタッフも一輪車の補助を体験させていただきました。私がお相手したのはDくん。Dくんも他の多くの子どもたちのように、まだ一人では乗ることができません。しかし、特別講師として来られていた先生(世界選手権でも活躍されたこともある)の適切なアドヴァイスを受け、だんだん補助の私の手を握る力も段々抜けてきて、最後には「補助なしでやってみる」と果敢に挑み、見事5mを自力で走行! 子どもたちの飲み込みの速さに今更ながら驚嘆しました。
“一輪車クラブ”
後半は一輪車クラブ。かなり乗れる子どもたちのクラブです。クラブに来ている子どもたちの多くは、前進もバックもアイドリングも自由自在。とても楽しそうにされていて、あんなふうに自由自在に乗れたら楽しいだろうなあ、とつくづく思っていたら、スタッフの方から「乗ってみませんか?」 これは良い機会と、スタッフの方にべったりついていただいていざ一輪車へ。しかし、これは想像以上に難しい。まず、一輪車のペダルに両足を乗せることも難しい。1時間かけてやっと30cmほど進むのが精一杯でした(進んだというより、転ぶのに30cm要しただけか?)。力を抜かなくてはいけないことは分かっていても、なかなかできないんですね。で、腕や背中が筋肉痛。情けなや〜〜
さて、子どもたちが帰っても、活動は続きます。午後からはスタッフの皆さんのミーティングで、こちらにもお邪魔させていただきました。スタッフの皆さんは中学生から社会人までとてもヴァラエティーに富んでらっしゃいます。必ずしも達者に一輪車に乗られる方ばかりではないそうです。非常に和気あいあい藹々とした雰囲気の中、しかし締めるべきところはしっかり締めてミーティングを進めていかれます。教室・クラブに参加の子どもたち一人一人について進み具合などをじっくり報告&協議されていて、子どもさん一人一人を大切に見守っておられる様子に感銘を受けました。
スタッフの何人かの方に、この活動に参加したきっかけをお聞きしたところ、ちょっとしたきっかけ、という方が結構おられました(そういえば、私のきっかけもそうだな。独白)。おそらく、皆さん心の底にボランティアマインドを持っておられて、ちょっとしたきっかけでそのマインドを開花されたんだろうなあ、と想像しました。
また、活動を続けていく原動力をお尋ねしたところ、「子どもが好き」「子どもたちが上達して行くこと」に合わせて、「子どもだから、なかなか言うことを聞いてくれないことも多く、悩むこともある。しかし、どうやったら子どもたちにプラスになるだろうと色々考える」といった一見ネガティヴに見える問題も原動力になる、ということを伺い、大変感銘を受けました。
“新たな・・・”
「ゆにっこ」さんの前身は3年前に下京青少年活動センターで行われた一輪車教室で、活動窓口担当の西田浩希さんはその発足当初からのボランティアスタッフ。そんな西田さんに、こちらのボランティアスタッフの特徴をお聞きしました。
「『ゆにっこ』には中学生から社会人までさまざまな年代のスタッフがいます。子どもたちにとって、中学生のスタッフは一輪車の先生というより、練習を励ましてくれるやさしいお兄さんやお姉さん。また大学生や社会人のスタッフは、親以外で接することができる大人として重要な役割を果たしています。こうした出会いによって、『ゆにっこ』に通ってくる子どもたちはもちろん、スタッフ自身も成長しているんじゃないでしょうか」
そんな「ゆにっこ」さんは今年4月から下京青少年活動センターの共催事業として、新たなスタートを切ったそうです。西田さんは、この新しい出発を契機として、活動をさらに飛躍させていきたいと語られます。
「共催事業となることで、確かに全体的な仕事の量は増えたかもしれません。けれど結果として、『ゆにっこ』に通ってくる子どもたちのお父さん・お母さん方との関係を密にし、協力を得ようという意識が高まりました。そして保護者の方の積極的な協力・提案を頂くことにより、ボランティアスタッフが『一輪車クラブ』『教室』の枠を超えた別の企画を主体的に進めることができるようになりました。
今、『ゆにっこ』には、わざわざ遠方より車で通ってくる子どもたちもいます。将来、地元の学校において体育館が開放されるなど練習の場が確保できるようになれば、第2、第3の『ゆにっこ』が生まれ、一輪車がもっと地域に根付くようになるでしょう」
“季刊ボランティア スタッフ”
「安全に、そしてめいっぱい楽しく」。子どもたちが一輪車を練習するのにふさわしい環境というだけでなく、友達をつくり、お兄さん・お姉さんをつくり、近所のおっちゃん・おばちゃんと知り合うことができる環境、そんな場所が、下京青少年活動センター2階の体育室に生まれてきているように感じました。
また、初めて取材に参加した季刊ボランティア・スタッフの感想。
「一輪車クラブ『ゆにっこ』さんのお手伝いをさせていただいて、とても楽しいなという気持ちが残りました。子どもさんを相手にするということで、上手に話ができるか等の不安はありましたが、ちゃんとこちらの問いに答えてくれたり笑顔を向けてくれるのでやり甲斐を感じます。こちらが頑張っていると、子どもさんも頑張ってくれます。スタッフの方々の雰囲気はとてもよく、幅広い年齢層ですが皆友達のようでした。明るい方なら、誰でもこの輪の中に入っていけると思います。クラブや教室の子どもさんの人数はまだ少ないようですが、とにかく楽しいので子どもさんや教えることが好きな方はもっと活気をもたらしてみてはいかがでしょうか」
メンバー数 | 男性11人(うち学生7人) 女性6人(うち学生4人) |
主な活動 | 小学生を対象とした「一輪車教室」、「一輪車クラブ」 |
活動時間 | 隔週日曜日 9:30〜13:30 |
活動場所 | 京都市下京青少年活動センター内・体育室 |
住所 | 下京区西七条北東野町90 |
連絡先 | TEL(075)314-5636 担当:井原 |
URL | http://www.ys-kyoto.org/shimogyo/ |