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百聞は一見に如かず・第5回「洛和グループホーム円町」

“グループホームとは”

第5回目となりました今回の「百聞は一見に如かず」では、上京区にある「洛和グループホーム円町」さんにお邪魔しました。

グループホームとは、家庭での生活が困難になった痴呆のお年寄りが、限りなく在宅に近い状態で、介護の専門のスタッフとともに共同生活を送るもの。「洛和グループホーム」さんは京都市内を中心に10箇所あり、私たち「季刊ボランティアきょうと」編集スタッフは、その中の1つ「洛和グループホーム円町」さんにお邪魔しました。

“笑顔のスタッフ”

閑静な住宅街にある「洛和グループホーム円町」さん。ここでは、痴呆と診断された方で自立歩行が可能な方9人(女性8人、男性1人。平均年齢82〜3歳)が3人の介護スタッフとともに共同生活をされています。私たちがお邪魔したのは、とある日の昼下がり。笑顔のスタッフさんに明るく広々としたリビングに迎えていただきました。

広いリビングと9つの個室があり、9人の入居者の方はそれぞれ個室をお持ちで、リビングを共通で使われています。9LDKのアパートで共同生活というイメージ。私たちがお邪魔した時は、丁度リビングでは入居者の方が順番にお顔を手入れして貰っている最中。また、リビングにある台所では夕食の準備をされている方も。

そんな和気藹々とした中、スタッフの越後さん、松浦さんにいろいろお話を伺いました。

“グループホームの特徴とは?”

「まず、グループホームはいわゆる施設とは異なるものです。よく『擬似家族』という喩えがなされますが、まさにその通りで、入居者の方が、居心地が良く、出かけたら帰ってきたくなるような安心感を感じられるような場がグループホームです。」

「スタッフは入居者の方がそんなふうに暮らせるようお手伝いをするのが役目。何かをしてあげるのではなく、なるべく入居者の方に自主的に生活していただき、それをサポートしていきます。」
「生活の中で入居者の方それぞれの個性を出せれば良いですね。例えば料理の得意な人に料理を作ってもらうとか・・・ しかし、注意しなければならないのは無理強いは禁物ということです。無理強いをすると却って負担、ストレスになってしまいますから。」

お話を伺っていて、本当に入居者の皆さんが「家族」として暮らしていけるよう腐心されていることが伝わってきました。しかし、元々は別々に生活してこられた他人同士。色々と大変なこともあるのでは?

“どういうところが大変ですか?”

「それはもう沢山あります。」
「例えば、痴呆の方は環境の変化に敏感なので、ホームに慣れていただくまでが大変。入居されたばかりの方は「帰りたい、帰りたい」とおっしゃるかたも少なくありません。慣れていただくまで我慢が必要です。」
「病状が進んで行くのを見るのは辛いです。先週まで出来たことが今週には出来ないようになってしまうのを見るのは辛いです。」

グループホーム・ケアは病状の進行を遅らせることは出来ても、進行をストップさせることが出来ないのが現実だとのことです。

“反対に嬉しいことは?”

「これも沢山あります。本当に毎日が発見の連続です。」
「やはり、入居者の方の嬉しそうな顔を見るのが一番嬉しいですね。」
このように語られたスタッフの方の笑顔も素敵でした。

さて、このようなグループホームですが、どのようなボランティアが望まれるのでしょう?
「来ていただいているボランティアの方は高校生〜高齢者までバラエティに富んでいて、ゲームなど(囲碁・将棋・百人一首・音楽・社交ダンスなど)の相手をして貰っています。」

「手伝いに来る、というよりも「遊びに来る」感覚で来ていただきたいです。入居者の方と友達的、家族的なコミュニケーションをしていただくのが一番です。『そばに誰かがいる』というのが大事ですね。」

「ボランティアの方が来られると、入居者の皆さんは「お客さんが遊びに来た」という雰囲気で迎え入れてくれますよ。」

ボランティア!と大上段に構えるのではなく、友達や親戚の家に遊びに行く感覚ですね。確かに来客があると嬉しいものですものね(独居の筆者の独白)。

その他、「年間を通して色々な行事があり、遠足などで外出することもありますが、そういう時はボランティアの方に特に沢山きていただきたいですね。少なくとも一人の入居者の方にボランティアが一人必要ですので。」「リビングにはピアノもあるので、ピアノが弾ける人も大歓迎です。」

“入居者の皆さんのお話”

スタッフの方より一通りお話を伺った後、入居者の皆さんのお話を伺いました。皆さんそれぞれの個性をもって、若い頃のことなど話してくださいました。お話を伺っていて、大正、昭和、平成と日本の激動期を過ごし、支えて来られたという重みを私は感じました。

また、一人の方から「若いというのは良いことだ。これからまだまだ未来がある。だから頑張らないといけませんよ。」と仰っていただき、本当にそうあらねばならないな、と感じました。

本文:土師 写真:水上 編集:姫野

洛和グループホーム 円町
主な活動痴呆性老人の生活するグループホームでの家事援助、外出支援、話し相手など
活動場所勧修・円町・音羽・醍醐・常盤・千代原口・大津・石山寺・亀岡千代川の各グループホーム
連絡先TEL(075)593-7752/FAX(075)593-7769 担当:越後
連絡時間月〜金曜日 9〜17時
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