百聞は一見に如かず・第9回「たつのこおもちゃライブラリー」
久々復活の「百聞は一見に如かず」、今回は北区にある大徳寺の塔頭(たっちゅう)・玉林院内にある「たつのこおもちゃライブラリー」にお邪魔しました。
おもちゃライブラリーは、障害を持つ子どもたちのために、おもちゃを通して「人」や「もの」との関わりを学ぶ場として、1963年にスウェーデンで始まり、その後世界各国へと広まっていきました。日本では、1975年に大阪で日本初のおもちゃライブラリーが誕生し、その後全国で500あまりに増え、京都府では1980年に今回お邪魔した「たつのこおもちゃライブラリー」が、府内初のおもちゃライブラリーとして開設されました。現在では京都市内に7つのおもちゃライブラリーがあります。
通常のたつのこおもちゃライブラリーでは、毎週土曜日の午後3時頃から、障害のある子もない子も一緒になって、ボランティアや親御さんたちとともにおもちゃ遊びや運動遊びなどを楽しんでいます。また、ボランティア講師の方にヨガを教わる「たつのこヨガ教室」、みんなでお抹茶をいただく「たつのこ茶会」といった活動を行うときもあります。その他、日曜日にハイキングやキャンプ、乗馬などのイベントもあります。
私たちがお邪魔したのは、雨が降り続くとある土曜日の午後でした。私たちは、担当者の森雅子さんに、まずはおもちゃライブラリーのすぐ近くにある大徳寺保育園へと案内していただきました。当日、保育園ではヨガ教室が行われていました。親御さんたちがヨガの講習を受ける一方、子どもさんたちは保育園の内外ではしゃいでいたり、ブロックなどのおもちゃで遊んでいたりしていました。
保育園でしばらくヨガ教室の様子等を見せていただいたあと、森さんにおもちゃライブラリーへ案内していただきました。ここに用意されているおもちゃは、みな「本物」ばかり。木の組み方や設計などとてもしっかりしており、20年以上活躍しているものも少なくありません。元気な子どもたちが楽しく安全に遊べるおもちゃがいっぱい。そのうち、転がした玉が鉄琴を鳴らすおもちゃや、外国製の木製鉄道レールのおもちゃなど、いくつかを紹介していただき、私たちも童心に返って遊んでみたり…
そんなおもちゃに囲まれながら、森さんにたつのこでの活動やボランティアのことなど、いろいろな話を聞かせていただきました。
たつのこに来られるボランティアの方は、通常のおもちゃライブラリー・ヨガ教室・茶会の3通りある活動それぞれに専属のボランティアが来る、とのこと。
現在、普段は3〜5人で活動しているそうですが、どうしても集まりの悪い場合は、たつのこ利用者の親御さんに手伝ってもらうそうです。また、特に学生の方に来ていただきたいというお話でした。
活動プログラムについては、利用者向けのほかにも、ボランティアの方たちにも楽しんでいただけるように、ボランティアの方向けのプログラムも作るそうです。
たつのこおもちゃライブラリーは、利用者に自閉的なお子さんが多く、広い場所のほうがのびのび過ごせるとのことで、今はライブラリーよりも隣接する保育園で活動することが多いそうです。
「障害を持つ子どもたちにとって、一般の施設や病院をいわゆる『主食』とすれば、余暇活動の場であるたつのこは『おやつ』的な存在。利用者の人たちには、何かを無理強いはすることはしません。たつのこのいいところを持っていって、家族の力によってみんなが幸せになっていただければとてもうれしい」とおっしゃっていました。
森さんから話を伺ったあと保育園に戻ると、皆さんヨガを終え、テーブルを囲んで子どももおとなも談笑の時間。その中で、3年前にインターネットがきっかけでたつのこを利用するようになったお子さんの1人の親御さんである渡辺さんに話を伺いました。
「外の社会では変な目で見られるけど、たつのこでは子どもがのびのびと楽しく過ごせるので、ここは親にも子どもにもいい。障害のない子どもは、利用者の兄弟などが中心で、それ以外の子どもやその親はあまり参加していないのがちょっとさびしいかな」とおっしゃっていました。
こんないろんな子どもたちと触れ合えるたつのこおもちゃライブラリー、特に子どもがお好きな方には、お勧めです!
最後になりましたが、森さんをはじめ、たつのこを利用しているお子さんとその親御さん、ヨガ教室の講師さん等、本当にありがとうございました。
(中道、姫野)
主な活動 | おもちゃライブラリー・ヨガ教室・茶会(土曜日) その他、ハイキング・キャンプ・雪遊びなど(月1回程度日曜日) |
住所 | 北区紫野大徳寺町74 大徳寺塔頭・玉林院内 |
連絡先 | TEL:(075)491-8818/FAX:(075)491-3232 担当:森 |
URL | http://www7.ocn.ne.jp/~gyokurin/tatunoko/ |